「・・・」ゆっくりと津木が顔を上げる。俺はどういうリアクションをしたものかわからず、とりあえず俺は笑顔で返した。まぁ笑うしかない
だろうしな。
 津木はうつむきながら頭を上げて、俺の耳元で囁く。
「あれ、なに?」耳がこそばゆい。がここで俺が上手くやらなければ中の二人は速攻で退学だろう。1.5秒くらい考えて言った。

「セックスだろ」
「・・・・・・・・」

ごめん、見ず知らずの中の二人!俺には言いくるめる才能ないから!
俺のセリフにあっけにとられたのか、津木はポカンと口を開けて俺をジッと見つめる。俺も見返す。なんとなく目を反らしたら負けになる気が
したんで(なんでだ?)。
しかしこうして間近にジッと女の子と見つめ合うと妙な気になる。メガネをしていかにも優等生なんで俺の範囲外って感じでいたんだが、メガネ
越しの目が意外とカワイイ。まさか、俺にメガネ属性があったとは・・・いや、違う。そういうのとは違うはずだ。

 突然、津木が口を押さえて俯く。えっ?何?吐くの!?なんで?うわぁー
「だ、大丈夫か?」
だが、よくみると津木は震えながら息を殺して・・・笑っていた。
 俺がムダに頭を使っていたのがわかったかのか?秀才だしな、そのくらいは・・・・

ちょっとして落ち着いたが、目に涙を浮かべてまだ笑い足りない様子がありありとしている。
「どうした?」「ごめん、つい」
ついなんだよ?そんなに変な顔してるか、俺。
「違う、うん、違うの」
ま、いいけど。
「それでどうするんだ。先生にでも言うのか?」「なんで?」きょとんとした表情で津木が訊き返す。
「なんでって、津木は書記だし」「生徒会だからって別に通報義務はないよ」
そりゃそうだが・・・俺は意外な答えに混乱していた。津木ってこんなやつだったのか?
「人の人生決めちゃうようなこと考え無しに言う奴だと思ってたの?」「あ、いや、そういうつもりじゃ・・・」
「じゃぁ観よう」「観る?まだ観るのかよ」「だってみたことないから」
津木は平然と社会科見学で次の展示物でも観るような口調で言う。
 いや、ホントにこういうキャラだったのか?津木は。といっても俺も興味あるからいるんだが。

津木は隙間を更に開いて膝を付き、四つん這いになって中を覗く。こうしておしりを突き出している姿を見ると、津木みたいな女にも色気があるなぁ
と俺は感心した。俺の視線に気づいたのか、津木の問う目。
「なんでもねーよ」俺も津木の横に顔を並べて中に注目。

女は実験机に手をついているが、深く入れようというのか、男は女の片足をかかえていた。
少し湿り気のある音がする。それがリズミカルに響く。


 女の白い足とピチャピチャという音だけが教室の中の全てだった。まぁ観る側にとってはよっぽどAVを観ていた方が抜けると思うが臨場感とか、
こうしてこっそり覗くとまた緊張感があっていい。
正直言って勃った。

 ん、っとかふっ、とかそんな声がして思うに多分フィニッシュしたんだろう。俺は熱心に見ている
津木の肩を叩く。
「そろそろ行こう。向こうにバレるから」津木は紅潮した顔でコクリと頷いた。
ちょっと、ヤバイ。津木が色っぽく見えてしまった。


 俺はそんな気持ちを断ち切るように、戸をそっと閉める。そしてそろそろと靴音を立てないように廊下を歩いた。津木は俺の後ろから同じように静
かについて来る。


 結局口を開いたのは教室に戻ってきてからだった。
「ふ〜」
思わず溜息をつくと、津木も同じように軽く息をはく。もういつものクールな津木の表情に戻っていた。
これが普通だよな。俺は何故か安心しつつも名残惜しさも感じていたが、これでいいんだろう。ともかく・・・

「すごかったなぁ」「・・・そうね」
津木は俺に背を向け、自分の机の中から教科書をカバンに入れていた。やはりあれは津木にとっても衝撃あったんだろう。だが、俺としてはあのこと
に関してあんまり感想を言う積もりはない。っていうか女の前じゃ言えないだろ、普通。

「津木って案外度胸あるよな」「そうでもない」そっけないこたえ。
俺はどうも居心地悪くなって、自分の帰り支度を始めた。そしてなにげなく言った。

「そういえば津木と話すの初めてだっけ」
津木は顔を上げ、俺をジッとみる。
「うん。同じクラスになってからはね」「このクラスになってから?前に話したことあったか?」
「あるよ」「え〜っと、いつだっけ?」
キュッとバッグのファスナーを閉めると、津木は教室のドアを開ける。
「昔のことだから覚えてないでしょ。じゃあさよなら」「えっ、あ、ああ」
 津木は早足で廊下を玄関に向かって歩いた。

 このクラスになる前、ってことは1年の時に話したのか?どうも記憶がない。もっともどこかで話していてもあの地味な雰囲気だから、すっかり忘れ
ているのかもしれない。
 ともかく、俺も家に帰ろう。帰ってこの猛る股間を鎮めなければならないから。

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